Heighway Dragon
紙テープを同じ向きに何度も半分に折り、すべての折り目を直角に開くと現れる曲線です。折り目の左右は「何回目の折りか」だけで決まり、その単純な規則から自己相似なフラクタルが立ち上がります。
折り目の決まり方
回折ったテープには 本の折り目ができ、開いたあとの線分は 本になります。 番目の折り目は、 から 2 の因子を取り除いた奇数部 だけで決まります。
このとき なら右折、 なら左折です。折り目の列は R R L R R L L … と続きます。
色は歩いた順です。線が何度も折り返しながら、それでも一度も自分と交差しないことが追えます。
- 線分の本数: 4096
- 占める範囲: 95 × 63 マス
- 終点: (1 + i)^12 の位置
最初の折り目
を 2 進数で見ると、末尾の 0 を落とした残りの下 2 桁が なら右、 なら左になります。
| i | 2 進数 | 奇数部 m | m mod 4 | 折り |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 1 | 1 | 右 (R) |
| 2 | 10 | 1 | 1 | 右 (R) |
| 3 | 11 | 3 | 3 | 左 (L) |
| 4 | 100 | 1 | 1 | 右 (R) |
| 5 | 101 | 5 | 1 | 右 (R) |
| 6 | 110 | 3 | 3 | 左 (L) |
| 7 | 111 | 7 | 3 | 左 (L) |
| 8 | 1000 | 1 | 1 | 右 (R) |
| 9 | 1001 | 9 | 1 | 右 (R) |
| 10 | 1010 | 5 | 1 | 右 (R) |
| 11 | 1011 | 11 | 3 | 左 (L) |
| 12 | 1100 | 3 | 3 | 左 (L) |
n = 12 では折り目が 4095 本あるため、列そのものの表示は省いています。
同じ規則の仲間
この曲線は「各辺を決まった形に置き換える」という作り方でも書けます。置き換えの形(テンプレート)と、置き換えをどちら向きに当てるかの 2 つを決めるだけで、性格の違う曲線が同じ仕組みから出てきます。
ヘイウェイ・ドラゴン
直角のテンプレートは、向きを交互にするとヘイウェイ・ドラゴン、固定するとレヴィ C 曲線になります。置き換えの形は同一で、違いは向きだけです。同じ枠にコッホのテンプレート(中央 1/3 を三角形の 2 辺に置き換える)を入れれば、固定でコッホ曲線が出てきます。
| テンプレート | 向き | できる曲線 |
|---|---|---|
| 直角(2 分割) | 交互 | ヘイウェイ・ドラゴン |
| 直角(2 分割) | 固定 | レヴィ C 曲線 |
| コッホ(4 分割) | 固定 | コッホ曲線 |
| コッホ(4 分割) | 交互 | コッホ規則を交互にした変種 |
性質
- どれだけ折っても曲線は自分と交差しません。折り返しが密に見えても、線分が重なることはありません。
- 後半は前半を 90 度回転したものなので、 の曲線には 以下のすべての曲線が入れ子で含まれます。
- 折る回数を増やすと、曲線はある領域を隙間なく塗りつぶしていきます。同じ形を 4 つ組み合わせると平面を敷き詰められます。
- 領域の境界はフラクタルで、次元はおよそ 1.5236 です。
- グリッドを一筆で埋める曲線としては ヒルベルト曲線 が対照的で、あちらは正方形の形を保ったまま埋めていきます。